妻のお土産:雲南小粒珈琲
雲南小粒珈琲は意外に知られていません。
フルーティーで少し酸味のある中国を代表するコーヒーです。
漢字表記で雲南小粒珈琲(云南小粒咖啡/うんなん・こつぶ・こーひー)。
妻が2020年の秋にお土産に買ってきてくれた雲南小粒珈琲は上の写真のように500グラムとボリューミー。親戚や友人にも数袋買ってきてくれました。
生産地には保山と書かれています。
保山は雲南小粒珈琲の産地にどのような位置を占めるのか、好奇心がそそられます。
雲南小粒珈琲はプーアル茶の産地と重なる地域で栽培から生産まで行われてきました。今世紀に入り、産地は拡大しています。
しかし、東南アジアや中南米に比べて知名度が上がっていません。そこで、食材や料理の美味しい雲南省でコーヒーがどんな経緯をたどって一大産品になったのかを調べてみました。
雲南小粒珈琲とは
雲南小粒珈琲とは、そのまま、雲南省で栽培されている小粒コーヒーのことです。
雲南小粒コーヒーはアフリカを起源とするアラビカ科の常緑の小木から収穫されます。
現代世界で、コーヒーの主な栽培植物はコフィア属のアラビカとカネフォラです。
コーヒーはアカネ科コフィア属の常緑樹です。コフィア属には現在、100を超える種が分類されていますが、世界で流通しているのはアラビカ種とカネフォラ種の2種類しかありません。https://www.ucc.co.jp/museum/sp/jp/207.html
中国雲南省で栽培されている小粒コーヒーは、伝統的にアラビカ科のブルボン品種とティピカ品種の混合グループです。
なお、コーヒーは、アカネ科コヒア属の常緑樹で、この属には約100種の植物があります。すべてはアラビカ種、ロブスタ種(カネフォラ種)、リペリカ種という3つの原種から派生しています。
先述のとおり、主流はアラビカ種とロブスタ種の二つです。
アラビカ種とロブスタ種
香りが良いとされるコーヒーのほとんどはアラビカ種系の種子で、総生産量の大半を占めています。おもに南米、アフリカ、アジアの高地で栽培され、他の品種に比べて高品質とされています。ただし、さび病に弱い栽培上の欠点があります。
この病害に強く、多雨少雨にも強いロブスタ種はアジアで多く長培されてきました。
雲南小粒珈琲のルーツ
雲南小粒珈琲は2つの方法で導入されました。
東側経路
東側経路は1902年にフランスの宣教師が導入したものです。
北緯26度、海抜1400メートルの宾川县朱苦拉郡に植えられました。種はブルボン品種が69%、ティピカ品種が31%を占めています。雲南省での栽培面積は広くありません。
西側経路
西側経路では、1914年に景颇族(ジンポ)族の国境住民たちがルイリ郡(瑞丽县郡)のノンシアン村(弄贤寨)に運び、庭を眺めるために植えました。
1952年初頭、雲南農業科学アカデミーの熱帯亜熱帯作物研究所の科学者と技術者が調査中に発見し、35キログラムの新鮮な果物を収集。保山市潞江坝での試験植栽は、後に雲南コーヒーの主要栽培種となりました。
解放後の雲南小粒コーヒー
1950年代以降、雲南小粒コーヒーは徐々に雲南省内の作付面積を拡大。
雲南の優れた地理的・気候的環境は小粒コーヒーの栽培に適していて「濃くても苦くなく、香りが良くても強くなく、少しフルーティー」な雲南小粒珈琲の独特な風味を形成しました。この頃から国際的なコーヒー市場で高い評価を得ていきました。
雲南小粒コーヒーの展開
1993年にベルギーのブリュッセルで開催された世界コーヒー鑑定会議で、雲南の「保山顆粒コーヒー」(地理表示で保護された製品)が世界「ユーレカ」金賞を受賞し、以来「雲南小粒珈琲」は世界市場に登場していきます。
1998年、雲南省人民政府は「コーヒー産業の発展を加速するための雲南省人民政府の意見」を発表し、政府レベルで雲南コーヒー産業の発展の方向性を指摘しました。
その後、コーヒー豆の価格上昇の市場プッシュ下で、雲南小粒珈琲の農園エリアは急速に拡大しました。
現在の雲南小粒珈琲
2017年までに作付面積は122,000ヘクタールに拡大し、総生産量は144,000トンになりました。2010年代には生産量は世界全体の1.5%を占め、世界で12位、アジアで4位にランクされています。
現在、雲南省は中国で最大かつ最重要なコーヒー豆の生産拠点で、コーヒーの作付面積と生豆の生産は国の97%以上を占め、植栽、生産、加工を統合した開発パターンを徐々に形成しています。
2017年、雲南には約1000社のコーヒー会社がありました。育種、植え付け、加工から、消費者向け飲料の製造、市場販売にいたるまでのサプライチェーンが完成しました。
製品はヨーロッパ、アメリカ、日本、韓国、中東などに輸出されています。雲南コーヒーは世界市場の競争において中国にとって重要な農産物の1つとなっています。
同時に、雲南小粒珈琲は、タバコや野菜を超えて、雲南高原の特徴を備えた10の主要農業品の1つとなり、雲南の輸出収入で最大の農業産業になりました。
林潤コーヒーの躍進事例
雲南省普洱市思茅区南屏鎮大開河村では、産業チェーンの発展モデルを模索していた林潤コーヒー農園が顕著な成果を上げました。
2015年に華潤梅さんは、父親の華紅林さんからコーヒー農園を継いで「コーヒー豆1キロでコーヒーが一杯にならない」という困惑を解決しました。
品質と価格が逆転したわけです。
これまで核心的な問題として、農家に発言権がなく、買手市場が価格を決定してきました。
これに対して、華潤梅さんは専門的な特長を発揮して、林潤コーヒー農園の「番人」となり、より多くの農家を率いて、有機精品コーヒーの発展の道を開拓。
地元のコーヒー農家によると、華潤梅さんは、伝統的な水洗処理方式を改善しただけでなく、親日干しや蜜処理などの処理方式を伝え、市場の需要を満たしています。
現在、林潤コーヒー農園の精品豆の年間生産量は50トン以上に達し、コーヒー販売市場も徐々に開かれてきました。
これとともに、大開河村コーヒー専門協同組合の社員は増えつづけ、コーヒー面積は7000ムー以上に達しました。
今後、華潤梅氏は、コーヒー基地の生態化、加工の標準化、製品のブランド化、産業集積化を推進し、プーアルコーヒー(普洱珈琲)を世界ブランド、国家ブランド、民族ブランドにする目標に向かっていきます。
中国コーヒー産業の急展開
近年の中国ではコーヒー産業がさらに発展し、世界的に有名なスターバックス以外にも多くの大手外資系企業や現地企業が急速に展開しています。
この展開を東方新報は次のように解説しています。
- 中国で4000店舗以上を展開している米大手スターバックスは、江蘇省昆山市にコーヒー豆の輸出入から焙煎、物流まで手がける産業パークの建設を開始。
- 米ファストフード大手ケンタッキーフライドチキンは2019年に中国で1億3000万杯のコーヒーを販売。
- 2020年11月16日、中国マクドナルドが傘下のコーヒー専門ブランド「マックカフェ」に今後3年間で25億元(約395億円)を投資し、中国全土に4000店舗以上を増やす方針を発表。
- 中国企業では新興コーヒーチェーン瑞幸珈琲(ラッキンコーヒー)が2017年の創業から急成長し、あっという間にスターバックスの店舗数を上回った。
以上、「世界で最も成長する中国のコーヒー市場 スタバ、マック、中国企業などの「戦国時代」に」より抜粋。
雲南小粒珈琲も中国コーヒー産業やカフェブームに一大貢献するでしょうか。ゆっくり見守っていきたいです。
まとめ
雲南小粒珈琲はアラビカ科のコーヒーで、フルーティーで少し酸味があります。いま中国を代表するコーヒーになっています。
雲南省にコーヒーが入ってきたルーツは2つあります。東側経路では1902年にフランスの宣教師たちが持ち込みました。西側経路では1914年に景颇族(ジンポ)族の国境住民たちが伝えました。
1950年代以降、雲南小粒コーヒーは作付面積を拡大し、1993年に世界コーヒー鑑定会議で雲南の「保山顆粒コーヒー」が世界「ユーレカ」金賞を受賞。
それ以降、いまでも雲南省は中国で最大かつ最重要なコーヒー豆の生産拠点です。コーヒーの作付面積と生豆の生産は国の97%以上を占めています。
いまの中国コーヒー産業やカフェブームに雲南小粒珈琲がどれほど貢献を続けるでしょうか。
カフェブームとあいまって、コーヒーは世界中の人々に親しまれています。各地域には産出や伝来に関するさまざまなコーヒー歴史があります。
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