スカートの近現代史にみる中国回帰の世界史

バーチャル経済史
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2022年1月21付のAERA dot.によると、東京都文京区のとある女子校で生徒がスカートかスラックスを選べるようになりました。

2020年4月に日本初の女性の大学長となった植木朝子氏(同志社大学)は《こんなことがいちいちニュースにならない社会や時代が来ることを祈る》と就任決定時に述べました。

トランスジェンダーの学生の気持ちを反映?

しかし、アップデートされない新聞業界や雑誌業界は《常識が変わること》を繰り返し記事にしています。

AERA dot.は、女子生徒がスカートかスラックスを選べる制度が増えていて、トランスジェンダーの学生の気持ちを反映したと述べています。

しかし、記事は女子校をとりあげることでアクセス数を伸ばしたいと思われ、ジェンダーをきちんと考えているとは思えない記事です。

ホリゾンタルに見れば男子校の記事も必要となります。

はたして、スカートが認められる男子校が現れるか、また、男子校スカートをとりあげる新聞や雑誌が現れたとして、どれほど男女平等やトランスジェンダーをきちんと意識しているか、期待はできません。

女性のパンツ(ズボン)ばかりに注目するニュース業界。

ミニーマウスも同じスタンスで報道されています。

ステラ・マッカートニーによるミニーマウス

ディズニーランド・パリは2022年4月12日で開園30周年を迎えます。

これを機にミニーマウスの衣装が一時的に変わります。これまでは白色の水玉模様をつけた赤色のワンピースでした。これからは青色のパンツスーツへ。

デザイナーはイギリスのステラ・マッカートニー氏。

ミニーマウスはディズニーランド・パリにて、3月の女性史月間(Women’s History Month)にあわせて青色のタキシード姿を披露します。

問題はミッキーマウスがスカートを履いて登場するかどうかです。

アエラでもBBCでもない先進性をもつ那覇市と琉球新報

2022年02月17日付で「琉球新報」は「さよならスカート限定、ズボン限定…「制服選択可能」那覇の中学校で過半数に」と題した記事を掲載。

性的少数者(LGBTQなど)に配慮する動きだけでなく、制服の自由な選択を希望する生徒が増えていることも重視し、近年、那覇市では申請をせずに制服にズボンかスカートを選べる学校が増えています。

このニュースには男や女の言葉が使われていません。おそらく那覇市の中学校では、女性がズボンを穿くことだけでなく、男性がスカートを履くことも認めていると思われます。

アエラでもBBCでもなく、那覇市が実践し、また琉球新報が取り上げたところに、ローカル性とグローバル性のダイナミズムを感じます。

スカートの近現代史にみる中国回帰の世界史

中国をはじめ古代・中世の貫頭衣はジェンダーレスでした。

貫頭衣は頭からざっくり被って着るワンピースドレスのことです。中国ではツーピースの衣装も古くから着られていましたが、昔になればなるほどスカートもジェンダーレスでした。

衣装にジェンダーがはっきり出てきたのは近代ヨーロッパです。

ヨーロッパは自分たちの作ったジェンダー文化を自分たちで潰しているわけです。

世界史が中国回帰といわれるのはヨーロッパの自縄自縛を見直す動きによる面と、受け皿としての中国文明という面があります。スカートの近現代史にみる中国回帰の世界史です。

まとめ

女子校の制服やミニーマウスの衣装など、女性のパンツ(ズボン)ばかりに注目する報道機関。

今後、男子校スカートをとりあげる記事が出てくるかに注目です。

古代中国では貫頭衣が着られていました。この衣服はジェンダーレス。ジェンダーがはっきりと衣装に出てきたのは近代ヨーロッパでした。

この否定がいまのファッション史の大きなテーマになっています。スカートの近現代史からみると世界史は中国回帰に動いています。

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