今回は、地中海貿易で優位に立ったイタリアで複式簿記と保険制度が開発された経緯と背景を学びます。
イントロダクション
イタリアの歴史的ポジション
地中海貿易でイタリアが覇権を握ってから、ヨーロッパ諸国は、イスラム圏や中華圏から自立色を強めていきます。
この点で、とくに15世紀・16世紀の地中海貿易が重要になります。この見方はヨーロッパ中心史観です。イスラム中心史観でみると、15世紀以前や近代も重要です。ただ、授業では時間がないので、ヨーロッパ中心史観で説明しています。
イタリアの地理的ポジション
地中海に面していて、アフリカ圏・イスラム圏(おもに西アジア)に直面。
地盤が弱いため、地中海からの浸水に悩んできた地域。たとえば「水の都ヴェネツィア」。
- 恒例のベネチア冠水、その対策は? | ナショナル ジオグラフィック日本版サイト(2012年11月14日づけ記事)
- 水の都ベネチアが洪水で水没 悪天で高潮が発生 | ナショナル ジオグラフィック日本版サイト(2018年11月3日づけ記事)
地中海貿易:イタリアの複式簿記と保険制度の開発
前提:陸上貿易から海上貿易へ
ユーラシア大陸の貿易史
- 古代シルク・ロード陸3ルート、海1ルート
- 15世紀頃地中海貿易陸海併用
- 16世紀頃大航海時代海域拡大
地中海貿易:おもに15世紀・16世紀
- それまで…長らくイスラム世界が地中海を支配
- 地理的な広がり…ジブラルタル海峡(ポルトガル・ジブラルタル・モロッコの間)からトルコ・シリアまで
- 歴史上の位置づけ…シルクロード(おもに陸路)の時代的な補完
- イタリアの時代的限界…西側(大西洋やアメリカ大陸・アフリカ大陸)に無知
19世紀に地中海で優位に立ったイギリスは、西側(ポルトガル側)から地中海へ進出し、同世紀末にスエズ運河を開発しました。ジブラルタルをはじめ、イギリスが地中海で支配した地域を調べてみましょう。ヒントは次のとおりです。イギリスがジブラルタル海峡を通ってシリア・トルコ方面へ向かう途中で、ぶつかる島。GoogleMapでの答えはこちらです。
イタリアの複式簿記と保険制度の開発
複式簿記
- イタリアの繁栄…15世紀・16世紀に文芸復興(ルネサンス)《ローマ復活!》
- 文芸復興の影響…貿易・交易(商業利益)は伝統的なキリスト教に対立 →のち宗教改革へ
- 複式簿記の開発…それまで勘と経験に頼っていた経営管理において、借方・貸方の発想が登場。記載項目が細かくなり、複数事業の配分や停止を検討する余裕が発生。
保険制度
- 保険制度の開発…地中海航行のリスク(危険)を分散 ←航海はハイリスク・ハイリターン
- 金融機関の発達…保険会社→銀行
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