大学の出席率と高等教育の修学支援新制度

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大学の出席率は「有って無いようなもの」です。

どうやって取り扱うべきか難しいところです。また、大学は高校以下と異なって人数が多いですから、大学組織や大学教員が学士絵の出席を管理することも難しいです。

文部科学省も大学の出席率の取り扱いに苦労してきました。

20世紀の大学はほとんど出席をとりませんでしたが、21世紀に入り出席重視となり、2010年頃までは成績に算入されていました。

しかし、その後に路線を変更して、成績に算入してはならないとなりました。授業に出席するのは当然だという理屈でしたが、「なぜ今?」という疑念が絶えませんでした。

文部科学省の方針はアメリカ追従なので、疑念も何も発生しないはずですが。

では近年の大学では出席率が問題にならないのかというと、そうではありません。

その文部科学省が管轄する高等教育の修学支援新制度において、大学によっては出席率が大切なポイントになります。

この辺の事情を説明します。

大学の出席率と高等教育の修学支援新制度

2020年4月から文部科学省のもとで高等教育の修学支援新制度がはじまりました。大学、短期大学、高等専門学校、専門学校の学生を対象にしています。

この制度では高等教育が文科省より機関要件の認定を受けてさえいれば、学生が高等教育の修学支援を受給できます。

修学支援新制度の利用度

2021年12月現在で制度の対象機関は3153校を数えます(高等教育の修学支援新制度の対象機関リスト(全機関要件確認者の公表情報とりまとめ):文部科学省)。

内訳(修学支援新制度の利用度)は次のとおりです。2021年度の文部科学省のデータによる全国の校数・学数で割った百分率も出します。

  • 高等専門学校…57校(100%)
  • 専門学校…2022校(不詳)
  • 大学…773学(約97%)
  • 短期大学…301学(約93%)

ほとんどの大学が機関要件の認定を受けていることがわかります。

大学の出席率と高等教育の修学支援新制度

高等教育機関ではこの制度の認定を受けたすべての学生について、毎年度末に学業成績の判定をしなければなりません。

ところが、受給期間中(支援期間中)に学業成績を判定できないこともあります。

とくに大学では前期の成績が確定する時期は10月以降になります。この場合、学生は前期の成績で判断されることになります。

また、支援の適格認定(学業成績や学修意欲)では出席率が重視されます。

大学の出席率と高等教育の修学支援新制度は密接に関連しています。大学によってはですが、この判定の1つに学修意欲を図る基準として出席率の報告が必要になります。

学修意欲の判定方法は大学が設定します。出席率は判定方法の一つにすぎませんが、もし大学が出席率だけで測定(判定)する場合、文部科学省は次の基準を提示しています。

  • 支援の打切り…出席率5割
  • 打切りの警告…出席率8割

この点から、大学によっては出席管理システムへのデータ入力が重要となっています。この場合、学生が修学支援を受給できる(受給を継続できる)ために、大学教員は出席率を入力しましょう。

大学によっては出席を重視しない(出席をとらない)授業もありますが、修学支援新制度が適用されている大学や教員は、出席や出席率をどう扱うか一考することをおすすめします。

高等教育の修学支援新制度とは

高等教育の修学支援新制度とは、2020年4月から文部科学省のもとではじまりました。大学、短期大学、高等専門学校、専門学校の学生を対象にしています。

世帯収入(年収)と学修意欲の2点から判断して、支援を受けられるかどうか、またどの程度の支援額を受けられるかが決まります。

支援対象となる年収の目安は約380万円未満(両親・本人・中学生の4人家族の場合)です。

日本学生支援機構のホームページでシミュレーションできます。

文部科学省では、しっかりとした進路への意識や進学意欲があれば、家庭の経済状況に関わらず、大学、短期大学、高等専門学校、専門学校に進学できるチャンスを確保できるよう、令和2年4月から高等教育の修学支援新制度を実施しています。https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/hutankeigen/index.htm

修学支援新制度は次の2点に適用されています。

  1. 授業料・入学金の免除・減額
  2. 返還を要しない給付型奨学金の大幅拡充

これまでの日本の奨学金制度は、先進国かと思えない返済義務を課してきました。いまなお返還に関する問題が噴出しています。

この背景からすると、他国追従の給付型奨学金の拡大は予想できるものでした。

学生には学修計画書を書くことが義務づけられています。

学修計画書に書く学修意欲の3項目は次のとおりです。

  • 学修の目的(将来の展望を含む)
  • 学修の計画
  • 学修継続の意志

新制度では、しっかりと学習する観点から修得単位数や学業成績に一定の要件が設定されています。

それらの要件を満たさない場合には支援が打切りになったり、状況次第では支援した経費を返還(授業料等減免のケースでは授業料などを納付)する措置も講じられます。

まとめ:大学生活で大切なこと

給付型奨学金に返還義務は発生しません。

この奨学金の受給を狙うのが学生や保護者にとって一手です。また、授業料・入学金の免除・減額も間接的に家計を助けてくれます。

授業料などの減免と給付型奨学金による支援対象者(学生)の要件(条件)は同じです。

つまり、金銭の授受がある奨学金か、授受がない免除・減額か、どちらでも大差はありません。

大学生活で大切なことは、高等教育期間にアルバイトを減らし家族や友達とコミュニケーションをとり充実した学習時間や自分時間をつくることです。

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