日本語の歴史:近代(東京遷都後終戦時)編

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日本語の歴史:近代(東京遷都後終戦時)編

  • 言語政策(日本語の人為的変化)が導入され日本語の近代化が進行。
  • 標準語が制定され中央集権化が企図。
  • 新知識、翻訳漢語・外来語などが急増。
  • ローマ字日本語が進行。
  • 義務教育をとおして国語教育が整備。
  • メディアの発達によって文字表記が改革され、音声言語が地方へ普及。

近代になると、日本語の近代化がすすんで標準語が制定され普及していきます。他方、外来語の流入に歯止めが利かなく、ローマ字日本語も普及していきます。

義務教育から国語教育が整備され、標準語教育として展開しましたが、国語教育で発話や発生をする教師たちがネイティブ方言で説明したいたため、20世紀日本の国語教育は標準語教育としては失敗しました。

ただ、日本語研究は活発になり、語彙や文法から標準語をつくる動きとして多くの説が出てきました。もちろん、それらが有機的に結びついたわけではありませんが…。

文法

  • 動詞···可能動詞形が用いられるようになりました。
  • 形容詞…末尾に「〜です」をつける形が一般化しました。また、助動詞・推量の「~らしい」「〜だらう」「~でせう」が登場しました。

語彙

  • 西欧語の訳語として翻訳漢語が作られました。「会社」「鉄道」「電話」など。
  • 英語、フランス語、ドイツ語などから外来語が入りました。
  • 長い複合語を省略した略語が多用されるようになりました。たとえば「パーソナルコンピューター」→「パソコン」、「経済団体連合会」→「経団連」など。

文字・文体

  • 漢字制限や仮名遣いなど、国語表記の問題が多く論じられました。
  • 学制」発布(1872年)により、義務教育が始まりました。「国定教科書」は歴史的仮名遣いと漢字仮名混じり表記でした。「小学校令施行規則」改正(1900年)により平仮名・片仮名の字体が統一され異体字が廃止されました。
  • 言一致体(口語体)が登場しました。たとえば、「~だ(二葉亭四迷)」 「~である(尾崎紅葉)」 「~です。(山田美妙)」
  • 「国定教科書」が「~です」「~である」を採用(1903年)。
  • 公文書に普通文概念が出ましたが、漢文訓読体、和文体、和漢混淆文をもとにした文語文でした。公文書口語体になったのは1946年のことでした。
  • 送り仮名の付け方」(1959年の内閣告示)
  • 常用漢字表」(1981年/2010年の内閣告示)、「現代仮名遣い」(1986年の内閣告示)

送り仮名の付け方(1959年の内閣告示):単独語と複合語、活用語と非活用語分けるなど、語の性質や成り立ちによって送り仮名の付け方に7つの通則を立てています。各通則には「本則」のほかに例外・許容を設け、常用漢字表の音訓によって書き表す語を対象として、約500語の語例を掲げています。

常用漢字表(2010年の内閣告示):法令・公⽤⽂書・新聞・雑誌・放送などの使用漢字から、⼀般の社会⽣活において現代の国語を書き表すときの漢字使⽤の⽬安を⽰しています。

現代仮名遣い(1986年の内閣告示):現代文のうち口語体のものに適用する仮名遣いをとりあげ、語を現代語の音韻にそって書き表すことを原則とし、表記の慣習を尊重して一定の特例を設けています。

音韻

欧米語の影響で、「シェ」「チェ」「ジェ」「ティ」「ディ」「ファ」「フィ」「フェ」「フォ」「ウィ」「ウェ」などの音が次第に定着しました。

研究史

バジル・ホール・チェンバレン:日本の国語学の基礎をきずく

  • 『日本口語小文典』(チェンバレン、1887年)
  • 『日本口語便覧』(チェンバレン、1888年)

これらは西洋文法の品詞分類によるもので、これにもとづいて日本の国語学の基礎がつくられました。

また、『簡約日本文典』(チェンバレン、1886年)も出版し文語文法についてまとめました。

大槻文彦

  • 『言海』(1891年)…和語・漢語・外来後をふくめ五十音順に配列した国語辞書。
  • 『広日本文典』(1897年)…西洋文法をとりいれた文法書で8品種。『言海』のなかの「語法指南」。

上田万年

「P音考」(論文集『国語のために』1900年)。

この論文ではハ行音が両唇破裂音[p]から両唇摩擦音[ɸ]へ、さらに声門摩擦音[h]へと変化したことを論証。

山田孝雄

『日本文法論』(1908年)で単語を4つに大別。

  1. 関係語(助詞)
  2. 福用語(副詞類)
  3. 概念語(名詞類)
  4. 陳述語(形容詞・動詞・形式用言)

松下大三郎

『日本俗語文典』(1901年)・『改撰標準日本文法』(1928年)で、文を3段階に分けることを提唱。

  1. 断句…文章を構成する単位・文
  2. 詞…断句の材料(つまり句)
  3. 原辞…詞の材料(つまり形態素)

この考え方は口語文法研究の先駆けになり、佐久間鼎や三尾砂らに継続されました。

橋本進吉(東京帝国大学)

『国語法要説』(1934年)で「文→文節→単語」、「詞」と「辞」を重視し、学校文法の基礎をつくりました。

時枝誠記

時枝は橋本の後継者です。

『国語原論』(1941年)や『日本文法口語編』(1978年)で、言語過程説、入れ子型方式を提唱しました。

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日本語の歴史

日本語の歴史(日本語史)を総説と時代史でまとめています。

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