経済学の文法:形容詞の役割

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形容詞は物事の性質や状態を描く言葉です。人間の感情や感覚を表すときにも使います。

形容詞は活用のある自立語で、述語連体修飾語連用修飾語になります。

便利な言葉ですが、経済学は形容詞を敬遠する傾向があります。とくに大きい・小さい早い・遅いなどが嫌われます。

経済学が形容詞を敬遠した理由

数学に憧れた経済学

経済学は社会科学という学問に属しています。

研究テーマは人文科学に似ている反面で、分析手法は自然科学とくに数学を用いることが多いです。

このため、経済学のアイデンティティとして、形容詞ではなく数字で物事の性質や状態を表わすことが習慣になってきました。ましてや、人間の感情や感覚など主観的な修飾は不要です。

高度成長期は数字重視の時代

たしかに、高度成長期の日本のように頑張れば何とかなった社会では、会社の売上・利潤と社員の賃金が結びついてどんどん増えることがありえました。そこで数字が重視されたのです。

マクロ的にも特定産業の売上や国民所得が足し算で済んでいたので、あえて形容詞を使わずに数字で表現するのがおしゃれでした。

経済学が形容詞を敬遠した理由は数学風にしたかったことでした。

数字評価だと日本が乏しくなるグローバル社会

ところが、21世紀になってグローバル社会が定着してくると、地球全体のモノや貨幣のキャパが見えてしまうようになりました。

日本経済の衰退はグローバル化とともに始まっていますから、数字だけで評価すると乏しく寂しいものになります。

形容詞が重要になる理由は、これだけに留まりません。

グローバル時代における形容詞の役割を考えてみましょう。

経済学の文法:グローバル時代における形容詞の役割

これまでのように、特定テーマの数値が上下変動する点を見ただけでは、グローバル社会のなかで自分たちの会社や産業や国が成長しているかがわからなくなったのです。

グローバル時代は比較を重視

このため、会社や産業や国の経営状態や経済動向を知るには、グローバルな視野で位置づけする必要が出てきました。

21世紀になってポジショニングという言葉(位置づけ)が広まった背景にはグローバル社会の定着があったのです。

IT化(情報技術化)によって得られるデータが広く増えたことも影響して、なにかと国際比較が可能になりました。

グローバル時代は比較を重視します。

グローバル時代に経済学は対応不可

国際比較や地域比較に経済学は対応できていません。なぜなら経済学は一国単位や地域単位で物事を考える習慣があるからです。

これには20世紀公判の日本で普及してきた平等意識も大きく影響しています。平等は万人に与えられた権利ですが、平等意識には比較を排除する悪癖があります。

比較経済学や比較経済史という学問分野がありますが、敬遠される傾向があります。

比較経済学や比較経済史の重要性

しかし、21世紀のグローバル社会において比較経済学や比較経済史は注目されるべき部門です。

これまでのような縦の比較(時間による比較)だけではなく、横の比較(空間による比較)によっても、個人の状態から政府の状態までいろいろと限界や課題を探れるようになりました。

とくに日本の場合は戦後にアメリカに支配されることに甘んじてきました。

これからの日本は、アメリカの忠犬から脱却し、地域比較や国際比較、それに地球全体からみた意義や位置づけを考える必要があります。

そのうえで、経済学の文法として形容詞をどう考えればよいのでしょうか。

グローバル時代における形容詞の役割

経済学をはじめとするいろんな学問も、結果的には国民や世界市民に成果を還元するべきものだと私は考えます。

グローバル時代の経済学は難しさではなく分かりやすさを心がけるべきです。

そのために、論文や本の「はじめに」と「まとめ」の部分で、ややゆったりした文章やトーンで形容詞を使いましょう。

たとえば、1.3倍という数値を微増とみるか大幅増とみるかは人によって異なります。論文や本の「はじめに」や「まとめ」に、筆者の感覚(大きいとか小さいとか)を添えるだけで、読者は数字をどう味わうかが分かりやすくなります。

もちろん、本文で細かく丁寧に分析をしていくなかで形容詞を使うことは、かえって混乱を招きます。

しかし、「はじめに」や「まとめ」で筆者が展望を概観することが読者のために必要な作業です。展望を概観するときに、大きい・小さい早い・遅いなどの形容詞は親切な品詞として、著者と読者を結びつけてくれます。

議論が生まれるのも、実は著者の判断からです。

面白くもない本文でなく、「はじめに」や「まとめ」に著者の判断を形容詞で書けば、議論の目標や解釈の可否がはっきりします。

まとめ

形容詞は物事の性質や状態を描く便利な言葉ですが、経済学には敬遠する傾向がありました。

経済学が形容詞を敬遠した理由は数学風にしたかったことでした。高度成長期のような経済発展期には縦の比較が重要でした。テーマを絞って数値の上下変動を見ていれば良かったです。

しかし、グローバル時代は横の比較を重視します。テーマを絞って数値の地域差を見る必要があります。

そのため、経済学でも形容詞が重要になってきます。グローバル時代の経済学は分かりやすさを心がけるべきです。

形容詞は親切な品詞です。

論文や本の「はじめに」と「まとめ」の部分で、形容詞を使ってわかりやすい文章を書きましょう。著者の判断を形容詞で書けば、解釈の可否から議論の目標がうまれ、スムーズに理解が進みます。

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