このページでは、青年海外協力隊と日本語教育隊員の活動をご紹介しています。
青年海外協力隊(JICA海外協力隊)とは、JICA(独立行政法人国際協力機構)が実施する海外ボランティア派遣事業と団体です。
青年海外協力隊の活動
青年海外協力隊の概要
1965年4月20日、青年海外協力隊は局長を含めて7人のスタッフに発足し、1974年からJICAの一事業となりました。当時のJICAは国際協力事業団といいました。
民間の青年団体が先導し、青年政治家がそれに呼応して発足した珍しい歴史をもちます。協力隊は政府開発援助(ODA)の一部ですが、日本における非政府組織(NGO)と思われがちな理由は、この歴史によります。
現在は政府開発援助の一環として、おもに開発途上国への派遣事業を進めています。
派遣事業の概要
派遣のおもな目的は3点。
- 開発途上国の経済・社会の発展、復興への寄与
- 異文化社会における相互理解の深化と共生
- ボランティア経験の社会還元
派遣事業の内容と実績は次のとおりです。
まず、任期は原則で2年間。
開発途上国からの要請(ニーズ)にもとづいて、ニーズにあった技術・知識・経験をもつ「開発途上国の人々のために生かしたい」と望む方を募集して、それから選考や訓練をへて派遣しています。
青年海外協力隊・海外協力隊だけで派遣実績をみますと、2021年9月30日現在で、それまで世界92か国へ45,891人を派遣してきました。
2018年に内部が細分化・再編されました。
- 青年海外協力隊・海外協力隊(日系社会青年海外協力隊・日系社会海外協力隊)
- シニア海外協力隊(日系社会シニア海外協力隊)
職種別の派遣分野は大項目で10種あります。
- 計画・行政
- 公共・公益事業
- 農林水産
- 鉱工業
- エネルギー
- 商業・観光
- 人的資源
- 保健・医療
- 社会福祉
- その他
日本語教育は7の「人的資源」に含まれます。
日本語教育隊員の活動
1965年の派遣開始から2020年3月まで、日本語教育隊員3275人(累計人数)が70カ国へ派遣されました。
配属先と活動内容
日本語教育隊員の配属先は、中学校・高校、大学、専門学校、日系日本語学校などです。
日本語教育隊員は次のような活動をします。
- 日本語、日本文化・日本事情に関する授業の実施
- 現地教師の日本語運用能力や教授技術の向上のための協力
- 日本文化祭、スピーチコンテスト等のイベントの企画・実施
- 教材の作成や見直し
- カリキュラムやシラバスの見直し
日本語教育隊員に必要な知識・技能
日本語教育隊員に必要な知識・技能には、次のような規定があります。
日本語教師の資格
次のいずれかを満たしていることが必要です(2022年3月現在)。
- 420時間程度の日本語教師養成講座(通信講座を含む)の修了
- 大学または大学院の日本語教育主専攻・副専攻などの修了
- 日本語教育能力検定試験合格
JICAの派遣事業では日常会話程度の語学力が必要になりますが、日本語教師に関しては上の3点のいずれかを満たしていればOKです。
ちなみに、JICAでは「英検3級」「TOEIC®330点以上」、他の言語でも日常会話程度以上で応募可能です。2018年春募集合格者の約半数(48%)が日常会話程度の語学力でした。
資格以外の能力や意欲
- 日本語分析の能力と現地語習得の意欲
- 教科書や教材が不足していても授業をできる柔軟性
- 同僚教師と協働して、現地状況に応じたコース運営やイベントの企画・実施ができる能力
- 日本文化(着付けや茶道・書道など)に関する知識や経験(部活やサークルなどの経験でもOK)
なお、日本語教師としての実務経験はあった方が良いです。
もちろん、配属先が実務経験を条件としていないこともありますが、日本語教育隊員は即戦力として学校などで日本語の授業を行ない、同僚教師の成長を助けることが求められる配属先が多く、そのため、クラス形式での授業を経験しておくことをお勧めします。
また、JICAの派遣事業は仕事を学習に変える絶好のチャンスですから、現地で日本語や日本事情を教えるだけでなく、現地の言葉や習慣を体得する多文化多言語主義を実践したいところです。
日本と現地が世界に溶け込んでいることを認識して臨むと仕事と学習を両立させられるはずです。
JICA海外協力隊 日本語教育ガイド
JICAでは「JICA海外協力隊 日本語教育ガイド」を配布しているので、そちらもあわせてご覧ください。PDF版と電子ブック版があります。
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