今回は、スペインの銀山開発をテーマに、大航海時代の前後で世界がどのように変化したかを理解します。
大航海時代と銀の経済史
パラレル(同時平衡)な発展
- 銀を求めて
- スペイン・ポルトガルの世界進出
大航海時代…帆船で長期的な航海ができるようになった時代
スペインやポルトガルや中国など、大航海時代をリードした国では大型帆船を使った探検や貿易を行なっていました。
帆船は風向きをうまく使って方向転換や速度を得ることができました。大航海時代に、それまでの手漕ぎの船に比べて進行のグレード(水準)が上がったわけです。後代に蒸気船が登場するまで、長距離航海の標準となりました。
それでは、帆船を使って誰が・どこがどの航路を作ったのでしょうか。
発見したヨーロッパの探検家たちは、国王の支援を貰っていました。なかでも多くの支援を行なったのがスペインでした。
支援のあり方や資金の調達のやり方には、当時の大国だった中国と大きな違いがありました。
- 中国の大航海時代:国家プロジェクト
- ヨーロッパの大航海時代:民間プロジェクト
詳しくは次「日本史からグローバル経済史の流れを学ぶ」という記事内の「ポルトガルをとりまく周辺事情」を熟読してください。
二つの大航海時代
長期的で長距離な航海
- 明代の中国…国家プロジェクト
- ヨーロッパ…民間プロジェクト
危機管理(リスクマネジメント)の高まり
危機管理の必要が高まり、保険制度がヨーロッパで普及
- (参照)遣隋使・遣唐使もけっこう危険
スペインとポルトガル
大航海時代の影響と植民地の形成
大航海時代の影響
- キリスト教の普及…日本史にも影響(ポルトガル)
- 1580年…スペインがポルトガルを併合(スペイン国王が同時にポルトガル王位を継承)
植民地の形成と銀の掌握
スペインとポルトガルの間で結ばれた2つの条約(トルデシリャス条約とサラゴサ条約)の取り扱い範囲は次のとおりです。
前者が紫色の線、後者が緑色の線。
両線に挟まれた範囲がポルトガルの支配可能領域で、外側がスペインの支配可能領域。
- 植民地の地理的広がり…2つの条約(トルデシリャス条約とサラゴサ条約)※上図
- 植民地の時間的広がり…銀の掌握と使い方
スペインが南米大陸を支配したことで、銀山の開発が進みました。といっても先住民からみれば迷惑な面や悲惨な面もありました。
太陽の沈まない帝国とは?
- スペイン…ポルトガル併合でますます増強
- イギリス…産業革命以降の新しい帝国
その後の時代
銀の扱いを間違ったスペイン
国王をはじめ、王朝政府が銀を私物に使いすぎ、対外貿易のコイン鋳造に使わなかったのです。そのため、スペイン王国の資金力(資産力)が低下しました。
中国から文明・文化を導入し続けたオランダ
スペインが銀の確保で巨富を得た時期の前後、オランダは中国から技術や学問を継続してブレンドしました。
オランダのキーワードは次のとおりです。
- 金融機関
- 植物学
- 精神医学
興味がある方は次の本を読むと、これらの項目を深く知れます。とくに第7章「魔女狩りの終息と近代医学の成立―オランダという現象」。
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