『故郷を忘れずに』で学ぶ中国の地理と歴史

学ぶ技術
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私は番組「故郷を忘れずに」を2020年6月頃から毎日見るようになりました。

しばらく妻は帰って来れないし、私が中国に行くこともできないので、せめてもの慰めに、録画して何度も見ました。

歌詞さえ見ればオープニングの曲は歌えるようになりました。

地域番組「故郷を忘れずに」で学ぶ中国の地理と歴史

「故郷を忘れずに」は中国中央電視台が2015年から放映したドキュメンタリーです。中国各地のグルメや伝統文化をたくさん取りあげています。

この地域番組「故郷を忘れずに」は中国の歴史と経済を学ぶ技術にもってこいです。

第1シーズンの撮影は2014年6月にスタート。

それまで「走遍中国」「遠方的家」「流行無限」の3番組を手がけてきた制作チームが共同で作成しています。2020年10月現在、中国では第6シーズン、日本では第5シーズンに入っています。

「故郷を忘れずに」の第1シーズンは、2015年1月1日に中央電視台の国際チャンネル「走遍中国」にはじまり、3月4日まで放送されました。

このドキュメンタリーは、中国各地の伝統文化をコンパクトにまとめています。

現地の方たちへのインタビューを軸に、グルメ、イベント、農業、遺跡・博物館などを具体的に紹介し、各地の表情を浮かび上がらせていきます。

取材力と構成力に長けていて、政府の「国家歴史文化遺産プロジェクト」と「歴史文化ドキュメンタリープロジェクトの主要プロジェクト」に指定されています。

初放送データ

  1. 第1シーズン:2015年1月1日-3月4日
  2. 第2シーズン:2016年1月3日-3月5日
  3. 第3シーズン:2017年1月2日 – 3月30日
  4. 第4シーズン:2018年1月2日 – 3月28日
  5. 第5シーズン:2019年1月2日-4月1日
  6. 第6シーズン:2020年1月2日-3月27日
  7. 第7シーズン:2021年1月1日-9月5日
  8. 第8シーズン:2022年1月5日-1月28日

番組データ

  • 原題:大型纪录片《记住乡愁》
  • 外題:Nostalgia in Mind
  • 日題:故郷を忘れずに
  • 言語:漢語普通話
  • 字幕:簡体中国語
  • シリーズ数:6(2020年10月現在)
  • 特集数:300集
  • 各放映時間:30分間
  • 主题曲《乡愁》:作曲は孟庆云、作詞は黄石、演唱は雷佳
  • 出品公司:中央电視台
  • 在線播放平台:央視网

第1シーズン・第2シーズン:伝統文化と村落エピソード

「故郷を忘れずに」第1シーズンは古老の村落の現状に注目し、中国の田舎の物語を語り、世代から世代へと受け継がれてきた先祖伝来の訓練を追体験。

伝統文化の遺伝子を見つけることを目的にしています。

民俗習慣、独特な地元産物、深く豊かな文化などの蓄積は、何千年もの村の規則や慣習、家族の伝統や先祖の継承をとおして今に至ります。

「故郷を忘れずに」第1シーズン・第2シーズンでは、伝統村の歴史的発展を整理することで、中国の文化的本質を探求しています。

人々の慈悲、志向、誠実さ、正義、調和を強調する中国の優れた伝統文化の時代的価値を掘り起こし、詳しく説明してくれます。

「故郷を忘れずに」第2シーズンは、中国の優れた伝統文化を促進することを目的に、いろんな村々を取材しています。

第2シーズンのスローガンは「一集一村落、一村一传奇」(一つの特集に一つの村落、一つの村に一つのエピソード)。

第3シーズン・第4シーズン:古鎮(昔の村落)とグルメ

「故郷を忘れずに」第3シーズン第4シーズンは中国の伝統的な古鎮や村落をテーマにしています。古鎮や村落の風貌や伝統文化、および現状を伝えています。

古鎮や村落にはそれぞれ歴史物語があり、個々の家族には栄枯盛衰があり、各家庭には現実生活があります。

民間に伝えられてきたストーリー(民話)を整理することで光を当て、伝統的なモラルやマナー、先人たちの世代が守ってきたモットーには千年にわたり家訓として伝承されてきたものもあります。

古鎮や村落に散在する文化基因の断片を集め、中国の優れた伝統文化はどのような形で現代生活に活かされているのてしょうか。

第3シーズン・第4シーズンは、古鎮や村落の伝統から故郷への思い(ホームシック)を呼び覚ましてくれます。

とくに第4シーズンのスローガンは「一镇一神韵、一镇一味道」(一つの町に一つの魅力、一つの町に一つの味)。グルメです、グルメ。

コロナ禍ではまった第5シーズン:老街

CCTVの日本版「CCTV大富」では2020年10月現在で第5シーズンが放映されています。

私はこれを集中的に見ました。番組のたびに、グーグルマップへ行きたいマークを付けていると、下のような具合になっています。

「故郷を忘れずに」第5シーズンは中国各地の老街がテーマです。

老街には飲食店、博物館、公園などが集まっているので、街の情報がコンパクトにまとまっています。その分、他のシーズンに比べて賑やかで、見ていて楽しいです。第5シーズンのスローガンは「一集一街区」(一つの特集に一つの街区)。

第5シーズンは中国地域文化のうち地域史の決定版といえる内容をもっています。

第6シーズン:古代都市

現在、中国内での「故郷を忘れずに」は第6シーズンに入っています。

「1つの都市に1つのスタイル、1つの都市に1つの伝説」をスローガンにして、第6シーズンは古代都市に焦点を当てています。

テーマは、中国の土地に深く根づいた歴史遺産と豊かな文化遺産をもつ古代都市。長い歴史のなかで古代都市の興亡を伝え、中国の卓越性をコンパクトに伝えています。

第6シーズンのスローガンは「一城一风采、一城一传奇」(一つの都市に一つのスタイル、一つの都市に一つの伝説)。

第7シーズン:歴史的名城

第7シーズンのテーマは「一城一風、一城一伝奇」。歴史的名城に焦点をあてています。

古城のなかに封印された歴史をとおして、中華伝統文化の由来、伝承と発展を整理して、一つ一つの活き活きした人物と物語を構成しています。

中国歴史文化を風ってきた名城の風貌を示して、新時代の古城の発展を記録したものです。

第5シリーズと同じくこのシリーズも地域史の決定版といえます。

第8シーズン:農村振興

第8シーズンのテーマは農村振興

現代中国における農村の風貌をみていくものです。2010年代に中国では農村の脱貧政策に力を入れてきました。その成果をたどるものです。

農村の美しさ、農村の富、農村の強さの記録をとおして、農村の発展振興過程における力と、緑水青山中の現代郷愁を描いています。

「故郷を忘れずに」の使い方と反響

「故郷を忘れずに」は中国各地の歴史と経済をとりあげた地域番組です。

使い方

番組では必ず村の昔話が出てきます。番組を見ていてもどかしくなるのが、どの村落をとりあげているかを見落としやすいことです。

中国の番組ですから、字幕があってもすべて漢字。どの漢字が村の名前かを瞬時に把握しなければなりません。といっても簡体字と日本漢字が異なることが多いです。

そこで、次の点を意識してみてください。

  • 各回のタイトルを把握する…とくに画面に向かって右側に縦書きで各回のタイトルが漢字で出てきます。そこには村落名がある場合とない場合がありますが、できるだけ覚えてください。
  • タイトルに出てきた語句を検索するタイトルの一部でもいいので、できるだけたくさんの漢字を覚えて、検索してみてください。

検索するとき「记住乡愁」の4文字も入れて検索すると、検索の精度を挙げられます。検索結果がゼロの場合は、「记住乡愁」を外して「中国」や「中華人民共和国」などに変えると検索結果数が増えます。タイトルだけで検索すると日本語の検索結果ばかりが出て、使い勝手が悪いです。

反響

インターネット上では伝統、歴史、街並みにグルメなどにわたる取材を高く評価するコメントが多いです。

たとえば「故郷に帰りたくなった」「食べ物も少し郷愁的」「多くの村の民俗習慣や人生の知恵に満ちている」など。

そこで「故郷を忘れずに」という番組は内容を学ぶだけでなく、観光旅行に行く時の目安や行き先決定として使えると思います。

以下では古鎮や田舎の過去と将来を考えるうえで印象的なコメントを挙げます。

  • 故郷とはどこか。
  • すべての特集が同じように感じます。
  • 故郷の人々は欲しいものを手に入れますが、持っているものを失います。
  • 映された街区は特別。視聴者には普通の田舎出身の人も多く、故郷の田舎には古風な趣がなく、商業的要素もグルメもありません。
  • 一線都市や二線都市がほとんど出てきません。田舎の街を取りあげるというスタンスに囚われている。

以上のコメントは「记住乡愁 第一季 短评」から選んで意訳したものです。

いずれのコメントも故郷の抱える二面性の問題突きつけていて、身につまされます。これらの鋭い指摘をふまえて、これからも「故郷を忘れずに」を楽しく見ていこうと思いました。

 

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