いまではカフェでコーヒーを飲む習慣が定着しています。
しかし、立ち止まって歴史をながめると、カフェとコーヒーの巡り合わせは一時的なものです。
この記事ではカフェの語源もまじえて、モノ(現物)と言葉の違いをもとに、日本と米国のコーヒー受容に迫ります。
モノと言葉にさぐる日本のコーヒー受容
モノ(現物)としてのコーヒー
現物としてのコーヒーの由来は次のようにいわれています。
日本へ伝来したのち、コーヒーは外国人居留地で医薬として応用され、17世紀には長崎の娼婦が興奮剤として使用したことにより広まっていった。https://goodcoffee.me/column/interview/history-of-coffee-in-japan/
コーヒーは外国人居留地(長崎の出島)において普及したくらいで留まったようです。
上述ページでは喫茶店とコーヒーが結びついたのは1888年のこと。
1907年には日本とブラジルとの間でブラジル産コーヒーをはじめとする日ブ貿易活性化の条約が締結されたことから、ブラジルへの日本人移民が急増します。
日本国内では日系外国人の帰国者について定住資格を与える措置がとられています。ブラジルからの帰国者が多い背景には上述のようなコーヒーに関わる事実が大きかったと考えられます。
外来語「コーヒー」の由来
コーヒーは外来語の一つです。
江戸時代にオランダから現物とともに入ってきました。
コーヒーは「COFFEE」の音写と思われがちですが、日本に直接関係した経緯としてオランダ語が重要です。
漢字の「珈琲」はオランダ語の発音に基づく当て字である。https://goodcoffee.me/column/interview/history-of-coffee-in-japan/
オランダ語から「珈琲」という当て字も作ったことになります。
オランダ語でコーヒーは「KOFFIE」と表記し、「コフィー」または「コッフィー」と発音します。
ちなみに、最近とても流行っているカフェ巡りのカフェはフランス語(café)やイタリア語(caffè)。
カフェとコーヒーのヨーロッパ事情
私の推測ですが、17世紀オランダの覇権にたいする文化的抵抗や自国文化の工夫がフランスやイタリアなどの周辺諸国で活発化したのだと思います。
現物のコーヒーではオランダにかなわないから、コーヒーを店内や店外で飲む習慣を文化的に推進したのかと…。
他方、フランスやイタリアを度外視してオランダを直視すると「オランダ語と英語の関係は?」という疑問が出てきます。
かつて建国前のアメリカ合衆国の一部はオランダの植民地でした。オランダから現物コーヒーが持ち込まれて、KOFFIEがCOFFEEとなったのか…。
調べてみるもんですね。
モノと言葉にさぐる米国のコーヒー受容
建国前のアメリカ(合衆国)上流階級では紅茶が日常的な飲料でした。
そして、
ニューヨークがオランダ領だった時代(1624〜1664年)にコーヒーがオランダから輸入された可能性がある…https://coffee.ajca.or.jp/webmagazine/wonderland/book/87trivia
その後、オランダの衰退とともに米国ではイギリスが主な宗主国となりました。
当初、米国に居住するイギリス人たちは継続して紅茶を愛飲し、コーヒーは副次的な位置だったようです。
ところが、独立戦争のときに反英(対イギリス)の動きからコーヒーが主流になっていきます(詳しくは「お茶」と世界の歴史の意外にも深すぎる関係)。
すると、米国では国産コーヒーをつくる前にオランダ産コーヒーが存在したことになります。
これらの経緯をふまえると、KOFFIEがCOFFEEの語源となりそうです。
まとめ
カフェ巡りの「カフェ」はフランス語(café)やイタリア語(caffè)が由来です。
コーヒーでは、オランダ語「KOFFIE」が英語「COFFEE」の語源です。
私はカフェでココアという組み合わせも好きです。紅茶でカフェという方もいらっしゃいますね。カフェでコーヒーを飲む習慣は意外に一時的な流行に思えます。
ややひいき目でみますと、京都のカフェは外装と内装がおしゃれですが、コーヒーの美味しさでいうと大阪に敵いません。
コメント