カフェ巡りの経済地理学と似たテーマとして、今回はお寺巡り(仏寺巡り)について歴史地理学から考えてみましょう。
仏寺の歴史に経済事情が関与していたこともあるので、経済地理学からも説明します。
お寺巡りの歴史地理学
お寺巡りのはじまり
- お寺巡りのきっかけ…①元気を取り戻す、②仏教寺院の個人経験
- お寺巡りの言葉…①「buddhist-temples.net」、②巡る・めぐる、③寺・お寺・【寺院】・仏教寺院(仏寺)
- 「宗教年鑑」にみる「お寺」…とくに①「構成」の「第1部:日本の宗教の概要」、②「施設」
「巡る」「めぐる」の意味…あちこち回って歩く。類義語に「回る」。
同じ神道でも神社神道の施設は神社、教派神道の施設は教会・布教所など。
遍路の時代変化
徒歩、自転車、自動車、電車
良いか悪いかの価値判断はともかく、時代とともに遍路はスタンプラリーになってきました。
スタンプラリーといえば子供っぽいかもしれませんが、御朱印集めといえば年寄りのスタンプラリーのことです。
私のお寺巡りの範囲
- お寺巡りの地理範囲…大阪市
- お寺巡りの宗祖範囲…真言宗・天台宗・融通念仏宗(~平安仏教)、浄土宗・浄土真宗・日蓮宗・曹洞宗・臨済宗(~鎌倉仏教)など。
大阪府・大阪市の仏寺の特徴や傾向
- 資料(宗教年鑑)から…都道府県別の宗教法人数や教師数などがわかります。
- 体感から…①淀川以北はほとんど浄土真宗で、淀川以南は浄土真宗をはじめ、浄土宗や日蓮宗も多いです。②大阪城(元・本願寺)以北では浄土真宗が多く、以南の中央区と天王寺区では浄土真宗が比率を下げ、浄土宗・日蓮宗・真言宗などが多いです。江戸時代の大阪城周辺管理の影響です。
浄土真宗の多い理由
- 多くの宗旨や宗派…お寺が引っ越すと檀家がついてくるパターンが多く、新しく寺町を形成する面的ネットワーク。
- 浄土真宗…全国展開した寺院が、引っ越してきた浄土真宗信者を新たに檀家として迎えてきました。檀家が変わる点的ネットワーク(門徒制度)。
お寺経営の変化と現在
江戸時代の寺請制度は今の市役所のような役割をしていました。
周辺の変化
- 日本帝国政府(日本帝国憲法)の誕生…19世紀末の管理体制の中央集権化によって、寺請制度が消滅しました。寺請とは、お寺が周辺住民の状況を把握していた制度です。管理体制が政府に集中することで、その下で市役所や村役場などの地方行政が住民状況を把握するようになりました(戸籍制度の成立)。
- 都市開発(都市化)の影響…戦後の都市開発によってお寺が移転したり、東京一極集中によって檀家が引越したりしたことで、お寺を中心にした地域社会が崩れてきました。
お寺の変化
- 寺請制度の消滅…19世紀中期、寺請の役割は日本帝国政府が担うようになり(先述)、お寺側では代わりに檀家制度が成立しました。
- 所属意識の変化…20世紀後半、檀家にとって墓地の宗旨・宗派の意義が薄らぎました。⇒遠いところに墓参り…。
- 檀家制度の縮小…20世紀後半の仏寺運営の兼業化と多角化 ⇒まず兼業化に向かって、土日住職が増えました。ついで多角化に向かいました。
仏寺の多角経営
仏寺経営の変化…土地の一部を別用途に利用~寺請制度とは別の便利さを周辺住民に提供
土地の一部を別用途に使う事例をいくつか考えてみましょう。流行っている用途は3つほどあります。
- 墓…古くからある用途ですが、最近は超宗派や無宗派の墓をとり扱う寺が増加しています。
- 駐車場…手っ取り早い運営方法です。地元住民が活用します。
- 保育園・幼稚園…駐車場よりも初期費用や維持労力が大きい方法ですが、稼げます。地元住民が活用します。学校法人・宗教法人・社会福祉法人などが保育園も幼稚園も運営できます。保育園の運営主体には社会福祉法人や宗教法人が多く、幼稚園の運営主体には学校法人や宗教法人が多いです。
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